銀杏


あまりの低さにドキリとする。

でもそれを悟られたくはない。至って普通を装って返事する。

「何?」

「お前、結婚の意味分かってないだろ。」

意味?

「一組のカップルが法的に認められることでしょ。」

「それから?」

……それから…て、どういうことよ。他にどんな意味が…。

「お前も俺も試合とかあって精神面でのコントロールは難しい。
でも結婚したらそういう面をカバーし合えると思ってた。
信頼し合っていくものじゃないのか。
なのに咲は俺を信用してない。
これから先、お互いに試合も増えてくる。そうすると咲とはもっとコミュニケーションは取りにくくなる。
そんな生活で…それでもいいのかよ。」

「ちょっと。私が尊のこと信頼してないってどういうことよ?一度だってそんな風に思ったこと…」

「そうか?俺にはそう見える。」




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