銀杏
「そんなことない…」
「まあ、黙って聞け。
俺が触れるとがっちりガードして、俺が眠ってしまうまで固くなってんじゃん。それにそんな雰囲気にならないように、あれこれ話始めたり…嫌われてんの?とか思うぞ。
それともそういうのは苦手なのかよ?」
「……」
「いい加減にしないと咲が泣くことになっても知らねえからな。」
ドキッ。私が泣くようなこと…て……。
じわじわと涙が溜まる。
「そ…それって……浮気?」
「……さあな。」
「…や……だ。尊は…私だけだもん。他の人なんて…絶対……だめっ…なんだもん。う…うひっ…。」
「じゃあ、俺に委せてみろよ。そんな酷いことしねえから。
そんなに悪いもんじゃない…て思うはずだから。」
俯いて涙を拭いながらこっくりと頷いた。
ベッドに入って、素直な気持ちをぶつけてみる。
「ホントはね、水泳ばかりやってきて、そんな類いの話は聞いたりしたことがなかった。自分の母親だったら相談できても、私の場合は尊のお母さんでしょ。言い出せなかった。
何をするのか不安で…頭で分かってても実際は分からない。
どんな風に感じるものなのか。
どうすればいいのか。
尊は全部知ってるの?」