銀杏


「ああ、知ってる。」

「私のことなのに何で?」

「……愛してるから、咲のことなら何だって知ってる。」

「私だって尊のこと知ってる。でも何をすればいいのか…」

「大丈夫。一度で知るものじゃない。俺たちのペースでやっていけばいい。」

尊は優しく口づけをすると耳たぶ、頬、首筋とゆっくり唇を移動させる。
パジャマを捲り上げられて体が固くなる。

「…ねえ、電気点けたままでいいの?お義母さん来ない?」

「結婚してから来たことないだろ?電気消したい?」

「うん。…恥ずかしい。」

「さっき一緒に風呂入ったろ。目閉じてろ。」

言う通りに目を閉じる。
すると見えない分、神経が研ぎ澄まされて尊の動きに敏感になる。

心臓がドキドキ鳴ってる。

触れられたところが熱を帯びて、何か…変。

初めはくすぐったくて笑ってた。
でもだんだん尊のペースに巻き込まれて、出したことのない声が自然に出る。

これは何?
私、どうにかなっちゃった?




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