銀杏
「いつになったらその癖直すの?」
癖?癖なんてあったっけ?
「いい加減にしないといつか大失敗するぞ。」
「癖ってどんな?」
「俺と出かける時はいつも遅れる。仕事や練習はちゃんと行くのに、何で俺ん時はできねーんだよ?」
「それは…」
尊と一緒の時は可愛くいたいじゃない。
これでも頑張ってるんだよ。
尊は格好良くて(たぶん)、すれ違う女の子が振り返って、隣を歩く私は引き立て役…なんてヤダ!
この女心が分かんないのかしら。
「尊は鏡の中の自分をどう思う?」
「はあ?…別に。普通だけど。」
こういうの自覚がないって言うんだ。
「じゃあ、こうして隣にいる私は?」
「………お前、何が言いたいの?」
「……だって…尊は気づいてないだろうけど、すれ違う女の子が尊を見るんだもん。」
「…咲は見られちゃ嫌なのかよ?」
「……尊にはもっと綺麗な人が似合うとか、私が引き立て役だとか思われたら…嫌だ。」
そっぽを向いて唇を尖らせた。