銀杏
娘として
〈博貴side〉
「ねえ、見て見て!似合う?」
この間買った新しいスカート。
俺の前でくるくると回ってみせる。
「へえ、いいんじゃない?」
「えへへ~。」
咲と暮らし始めて二ヶ月。
ずっと以前から望んでいたことだった。
親子だと証明された日から、いつかそんな日が来ればいいのにと思っていた。
退院したら一緒に暮らそうと伝えたら、戸惑っていた。
でもちゃんと天宮さんの家族には了解を取ってあると説明し、二人で退院の手続きを済ませると、俺の住んでいるマンションで暮らし始めた。
咲との生活は今までと違ってすごく楽しい。
咲の仕事は病気療養ということで休みだし、トレーニングもまだ本格的にはしていないから、気持ち的には余裕があるせいかもしれない。
俺が新聞を広げて読み始めると、すかさず足の間に入って胸にもたれた。
「咲。読めないだろ。退いて。」
「いいの、読まなくて。」
そう言って新聞を取り上げた。