銀杏
「ああ。元気だよ。」
「偶然だね。こんなとこで逢うなんて。」
本当は偶然じゃないんだ。俺が連絡したんだよ。
「…そうだな。咲も元気そうで安心したよ。博貴さんに迷惑かけてないか?」
「かけてないよ~。ね、お父さん。」
俺を振り返って同意を求める。
少なくとも料理に関しては迷惑してるよ。
苦笑いで答えた。
しばらく話して、尊くんは咲に質問した。
「咲、いくつになった?」
「え?何、急に。尊と一つ違いでしょ。」
「俺、自分の歳忘れたから。咲、いくつ?」
「もう!からかってる?えっとねえ…。……22歳…だよね?」
不安げに俺を見る。
咲は自分がいくつになったのかはっきりしないのか。
それに尊くんの質問はわざとか?
「…23だと思うけど。」
「え…あれ、そうだった?間違えちゃった。えへへ。」
「そっか、23か。
水泳は?本格的なトレーニングしてるのか?」
「ううん、それはまだ。早くやりたいんだけど…」
「来年のシーズンには出るの?」