銀杏
小さな子どもが食事中に居眠りをして、ご飯茶碗に顔を突っ込んだり、小麦粉の袋を破り、辺り一面撒き散らしたり、思わず吹き出してしまうようなものばかりだった。
その次に結婚式でのハプニング。
幸せそうな新郎新婦。
いいなあ。私も幸せな結婚がしたい。
ドレスで転けたり、キャンドルサービスの火が燃え移るのは御免だけど。
ふふっ…当人は大変だろうけど面白い。
CMになってそろそろ行こうとした時、声をかけられた。
「あのー、…一文字咲さん…ですか?」
見ると見覚えのある制服に身を包んだ女子高生がいた。
おどおどした様子の二人に「…はい。」と頷いた。
「きゃ――!!やっぱりそうじゃん!」
二人は向き合い手を取り合って跳び跳ねて喜んだ。
「…?」
「私たち緑ヶ丘高校の水泳部なんです。」
道理で見覚えがある筈だ。懐かしい制服に当時を思い出し、顔が綻んだ。