銀杏


「私のこと知ってるの?卒業して何年も経つのに。」

「だって学校の一番目立つところに、トロフィーや写真が飾ってありますから。」

「えー、まだ飾ってるの?せめて写真は外して欲しいな。」

「ダメです。先輩以上の成績を修めた人いませんから。先輩は私たちの自慢で目標なんです。」

「あら。面と向かってそう言われると照れ臭いな。」

「来年の試合、楽しみにしてるんですよ。今年は無理だったんですよね?」

「そりゃあ、あんな大きな怪我だったんだから。無理に決まってんじゃん。」

隣にいた子が口を挟んだ。

「体調はもう大丈夫ですか?」

…怪我…入院する程の大きな怪我。

体調は随分良くなったけどまだ元には戻ってない。
激しい運動は許可が下りない。

「まだ本格的な練習はちょっとね。」

「そうなんですか。あ、でもまた格好いい泳ぎを見せて下さいね。ずっと待ってますから。じゃあ、失礼しまーす。」




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