銀杏
「不器用というのは得手不得手の話だな。
悪いとこは…いい部分でもあるけど…何でも一人でしようとするとこ。
相手と同じことを考えてるなら助かるよな。
でも違ったら?
咲の周りには助けてくれる人がたくさんいるだろ。
一人でするのも大事だけど、人の話をよく聞くと気づくことも多い。
十人十色だ。色んな方法がある。」
「うん。」
「それと夢中になると集中し過ぎて周りのことが見えなくなる。」
そうだね。
「客観的に見る力をつけることも必要だ。」
「…お父さんは?お父さんはどうなの?」
「…痛いとこ突いてくるな。
俺も一緒だよ。高校生ぐらいの時は突っ走ってた。
周りの話に耳を傾ける余裕がなくてあんなことになったんだから、俺がいい例だろ。」
「…後悔、してるの?」
「少しはね。でも今、咲と一緒にいれる。あの時もし選手を選んでても雪乃とはいられなかっただろう。」