銀杏


博貴は遠い目をした。
まるであの時を思い出すように。

「咲は雪乃と姿形は似てる。でも性格は俺だな。熱くなりやすくて負けず嫌い。すぐムキになる。
それで滅茶苦茶不器用。
でもそれは俺の方がマシか。」

そこまで言うと咲はさっきよりもっと膨れっ面をしてそっぽを向いた。

博貴は可笑しそうにクスクス笑う。

「そんなに不器用を強調しなくていいよ。」

口を尖らせた。




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