銀杏
「何で叩くの…」
「見くびるな!
俺はそんなに小さな男じゃない。
それに勝手に俺の人生終わらせんなよ。
選手としてやっていけないからって何で何もかも諦めなきゃいけない?
世の中選手になりたくてもなれない奴なんてごまんといるんだ。
俺はたまたま選手になれて、少しは名が知れて、期待されただけだろ?
そんなもん最初からなかったと思えばいいだけだ。
夢だったんだ。夢が醒めたんだよ。
それに俺ができなかったことを、次の世代に託すのも楽しみじゃないか?
あのな、スッゲー奴がいるんだ。まだ小学生なんだけど…」
何で尊はこんな風に気持ちを切り替えられるの?
「……」
「…それでさ、結構身長が…」
「……私はできない。」
「え?」
「私だったら…そんな簡単に気持ちを切り替えられない!」
「……簡単にできたと思うか?」
「……」
「簡単じゃなかったから今の俺があるんだ。」