銀杏
「悩まなかったら本気で取り組んでなかったってことだろ。
……簡単じゃない。
今だから言うけど、ぼやけた視界が何とか戻らないかと色々相談したし、試せることは全部やった。
それでもダメなものはダメで、自分を納得させるのに時間がかかったよ。
今は気にしない…ていうか、そう努力してる。
咲が退院したら公表しようと思ってたんだ。」
「……あの…」
「何?」
「私…尊に言ってないことがあるの。」
「それは博貴さんは知ってるのか?」
黙って首を横に振った。
ずっと自分の心にしまってきたこと。
「…激しい運動とか…肺に負担がかかることが……できないの。深呼吸しても咳が出たり、時々痛む。事故で折れた肋骨が肺に刺さって…自然治癒を待つしかないって…」
「……」
「でも、私は未だに尊の様には考えられない。もしかしたら…て期待する自分と、諦めろ…て言う自分がいて……どうしたらいいのか。」