銀杏
尊は各テーブルにビールを注ぎに行ってからかわれる始末。
咲はというと女の子たちに囲まれて、二人の関係を根掘り葉掘り突っ込まれ…
『天宮くんと一緒に住んでたんでしょ。襲われなかった?』
うん、大丈夫。
『天宮くんて普段はクールだけど、家ではどんななの?』
…普通だと思うけど。
『いつから好きだった?』
…さあ、いつの間にか?気がつけば…て感じかな。
突っ込まれないように当たり障りのない返答をしていた。
ここで友美の司会の声。
助かったあ。もう訊かないでと言いたいとこだった。
だって尊のプライベートは私だけのものだと思いたい。
「お待たせしました!今から生演奏を披露したいと思います。」
尊が席に戻ると同時に佐古田先輩が席を立つ。
あれ…お店の人が演奏するんじゃないんだ。
「ピアノとピアニストが揃ってれば演奏するしかないでしょう?」
へえ、嬉しい!
中学以来だ。
何を弾くのかワクワクしていた。