銀杏
「…誰も一緒の布団に入るなんて言ってないのに。
ただ隣で手を繋いで寝たかっただけなのに…。
もういいよ…おやすみ。」
小さな声でブツブツと独り言のように言って、リビングを出た。
すぐ傍に尊がいると思うと、安心できるのにな。
おばちゃんがいるとできないから言ってみたけど、やっぱりダメか。
ベッドに潜って、「はあ。」とため息を吐いた。
電気を消して目を閉じてもなかなか眠れない。
そのうち、しとしとと雨が降りだしたみたいだった。
雨足は次第に強くなり、遠くで雷が鳴ってる。
早く眠ってしまおう。
そう思えば思う程、目は更に冴えてしまう。
カタン…カチャ…
隣の部屋で物音がする。
尊もまだ起きてるのか。