銀杏
しばらくすると――
コン…とノックをしたような気がした。
雨は本降りになって、ザーザーと音を立て、雷の音も近い。
布団を頭から被った。
今度はコンコンと、しっかりとした音が聞こえた。
「尊?」
言うや否や、慌てた様子で部屋に入り、急いでドアを閉めた。
尊は毛布を体に巻きつけ、少々上ずった声で、「だ…大丈夫か?」と言いながらベッドへと近づいた。
その時、一際部屋の中が明るくなった途端、ものすごい雷鳴が響き渡った。
「うわっ!」「きゃっ!」
二人同時に声をあげ、咲は目を閉じ耳を押さえた。