銀杏


ゆっくりと目を開けると、尊は咲のベッドのすぐ脇にいて、毛布をすっぽり頭から被り丸くなっていた。

毛布を引っ張ると、「やめろ!」と怒鳴る。

「お前が…雷が怖かったら、手…繋いでやってもいいぞ。」

え?

確かに今のは驚いたけど、そんなに雷は怖い方ではない。

「いや…あの、大丈夫…だよ?」

「繋いでやるから手ぇ貸せってば!」

「もしかして…雷、苦手なの?」

「煩い!早くしろって。」

あんなに偉そうにしてるくせに、雷が怖いだなんて…。今まで知らなかった。ふふ…面白ーい。

毛布から右手だけを出して、私の手を探してるのか、宙を掻く。

仕方ないなあ。

左手を出して尊の手に触れると、しっかりと握られた。




< 80 / 777 >

この作品をシェア

pagetop