銀杏
ゆっくりと目を開けると、尊は咲のベッドのすぐ脇にいて、毛布をすっぽり頭から被り丸くなっていた。
毛布を引っ張ると、「やめろ!」と怒鳴る。
「お前が…雷が怖かったら、手…繋いでやってもいいぞ。」
え?
確かに今のは驚いたけど、そんなに雷は怖い方ではない。
「いや…あの、大丈夫…だよ?」
「繋いでやるから手ぇ貸せってば!」
「もしかして…雷、苦手なの?」
「煩い!早くしろって。」
あんなに偉そうにしてるくせに、雷が怖いだなんて…。今まで知らなかった。ふふ…面白ーい。
毛布から右手だけを出して、私の手を探してるのか、宙を掻く。
仕方ないなあ。
左手を出して尊の手に触れると、しっかりと握られた。