銀杏
朝、同時に目が覚めると照れ臭くて挨拶もまともに交わせなかった。
一緒に朝食の用意をする。
必要最小限の会話しかできなかったけれど、尊との距離は確実に近くなっているように感じた。
おじいちゃんの入院は、予定通り一週間で退院できた。おばちゃんは次の診察日に帰ると連絡があり、結局10日後に帰って来た。
あの雷の日以降、おばちゃんが帰って来るまで、二人は毎日一緒の部屋で寝ていた。
そうすることが二人にとって一番自然で、お互いが安心できる存在だったから。
でもおばちゃんが帰ってからは別々で、何だか物足りないような、寂しいような。
それ以後、おばちゃんが泊まり掛けで出かけるようなことはなく、尊とは以前と同じような関係のまま、日々が過ぎていった。