銀杏
温もり のち ドキドキ
「はあ――。寒いね。」
手を擦り会わせ、息を吹きかける。
12月半ば、尊と二人で出かけることになった。
「手袋忘れるからだろ。前の日から用意するだろ、普通。」
「どうせ段取りが悪いですよーだ。」
「出かけることは何日も前からわかってただろ?
それなのに出る前に“あれ忘れた”“これ忘れた”てバタバタして。
俺、何分待ったと思ってんの?」
コツンと頭を小突かれた。
「だってえ…。ごめん。」
まるでデートみたいって思って嬉しかったんだもん。
折角だからオシャレしようと頑張って早起きしたのに、結局ヘアスタイルがうまくまとまんなくて、尊に急かされてただのポニーテールになった…。