銀杏
「罰。」
「え。な…何?」
尊は左手の手袋を取ると咲の目の前にかざした。
「これはめろ。」
「…うん。」
大きい…。うふっ、暖かいや。
手袋をはめた手を頬に当てる。
「右手出せ。」
きっと怒ってる。ここは素直に言うこと聞かなきゃ。
手のひらを上に向けて差し出すと、尊はその上に自分の手を重ねた。
「うわ!冷てえ。氷みたいじゃん。」
ぎゅっと握ると自分の上着のポケットに入れた。
え…えええええ――!?
「た…尊、どうしたの?」
「どうしたの…て。温めてやってんじゃん。嬉しくないのかよ。」
「う…嬉…しい。」