銀杏
昔おばちゃんが言ってたけど、お腹にいた時から医者には大きい子だって言われ続けて、生まれてきたら普通だった。胎児の大きさを見るのに足の脛の長さを測るから、尊は足が長いんだね、だって。
…羨ましい。
おまけに中1にしては背は高い方だ。小顔だし、顔は…まあまあ?
長身で足が長く、テニスは上手いし、足も速い。
これじゃあ女の子が放っとく訳ない。
天は二物を与えずどころか、三物も四物も与えてるじゃない。
こうして歩いてるだけでもほら。
すれ違う女の子が振り返って見てる。
…面白くない。
何か…ムカつく。
でもどこかで優越感を感じてるのも確か。
はあ。複雑…。
「随分混んでるなあ。」
回りを見渡してボソッと呟く。
ここは科学館の中にあるプラネタリウム。チケットを貰ったから行っておいでと渡された。
ちょうどおじちゃんとおばちゃんも同じ日に出かける予定をしていて、夕方合流して晩ごはんも外食で済ませることになってる。