銀杏


「あぁ、すみません。この後親と合流するんで先輩たちだけで回って下さい。」

「なあんだ。つまんない。折角一緒に回れると思ったのに。じゃあ今度は一緒にどっか行こうね。バイバイ。」

その人が立ち去るとホッとしてため息が漏れた。

「今の人って…?」

「テニス部の先輩。結構みんな仲いいんだ。サバサバしてて男友達みたいな感じ。」

「ふうん。」




『大変長らくお待たせしました…。』

あ、始まる。

椅子が倒れて、場内が暗くなる。

天井に見え始める星たち。次第に星の数が増えて、小学校の林間学校で見た星空のようだ。

あの時は手を繋いで見上げたんだっけ。…ん?違う。指切りをするように小指を繋いだんだ。




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