銀杏
でも尊は真面目な顔をしてまっすぐ咲を見つめる。
少しだけ顔が近づいた。
ドクン…
急に変わった尊の様子に心臓が跳ね上がる。
胸の鼓動がトレーナーの上からバレてしまいそう。
何…どうしたの?
視線を外すことができない。
更に顔が近くなる。
ゆっくり…ゆっくり…目の前に迫ってきて、鼻の頭が触れるか触れないかの微妙な距離。
何を…するつもり?
ピーンポーン…
誰か来た。
でも尊は無視をする。
「尊、インターホン鳴った。」
「放っとけ。」
プルルル…
今度は電話だ。