スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
――人混みを抜け、夢中で走って。

あたしたちは駐車場に停まる車の影に隠れた。


「まいた……か?」


しばらく様子を伺っていた恭ちゃんが、コンクリートの段差に腰を下ろした。

ジーンズとスニーカーで良かったと思いながら、あたしも隣に腰掛ける。


「まさか、兄貴に出くわすなんてなー」


折り曲げた長い足の上に腕を乗せ、恭ちゃんは首を傾けた。


そんな小さな仕草も愛しくて。


「何、ニヤニヤしてんの?」


あたし、かなりイタイ……
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