スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
「お、お兄ちゃん、サークル仲間とお花見するって言ってたから!」

「何慌ててんの?」


恭ちゃんの手が、あたしの髪を優しく撫でる。


落ち着け、あたし。


何でこんな……ガキっぽいんだろ?


恭ちゃんがやけに大人びて見えて、焦りに似た感情が湧き起こる。


「それよりさ。久実ちゃんとはうまくいってんの?」


あたしの気持ちを知る由もなく、恭ちゃんは明るい口調で話題を変えた。


「……うん。あたしのこと、応援してくれてる」


あたしは膝を抱えた。


久実ちゃんは大切な友達で。

……恭ちゃんのことを好きなんだけど。

あたしの気持ちを知って、身を引いたんだ。
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