スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
本当はずっと前から、あたしと恭ちゃんの気持ちには気づいてたらしくて。

それなのに、代わりに告白を頼んだこと『ごめんね』って……


「良かったじゃん」


恭ちゃんはジーンズのポケットから、射的の景品を抜き取った。


「うん。恭ちゃんのおかげだね」


それは、キャラメル入りの箱で。


「弥生が頑張ったんだろ?」


恭ちゃんは一粒だけ、キャラメルを取り出した。

器用に包みを解き、口の中に放り投げるのを眺め、あたしは視線を移動した。


「でも、恭ちゃんが言ってくれなかったら、あたし……」

「そーいやさ。甘いもん食べたかったんだよな?」


特に意味もなく車のナンバーを見つめていたら、恭ちゃんの手が肩に乗った。
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