スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
「乾杯~!」


桜の木の下、幹事『遠藤』の高らかな声が響き渡った。

皆が一斉に缶のプルトップを引き上げ、炭酸の抜ける音と缶を突き合わせる音が、陽気な演奏をする。


その瞬間―――…


可愛い妹、弥生が。

最近、幼なじみから彼氏に昇格した『田島恭哉』と。

手を繋いで歩く光景を、目撃してしまった。


「弥生っ!?」


皐月が急に立ち上がって。


「秋本先輩……?」


向かいに座っていた山田雪菜は、目を丸くして呟いた。


「ちょっ、ごめん!」


皐月は長い足を大股開きし、雪菜の横をすり抜ける。


「どうしたんだよ……秋本っ!」


遠藤の呼び掛けにも振り向かず、皐月は人混みの中に消えた――


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