スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
「……ぬるい」


皐月の低い声が、缶の中に吸い込まれる。

とりあえず飲んでみたものの、走った弾みでほとんどが溢れてしまったビールは、すっかり気が抜けていた。


「戻るか」


花見客の中に弥生を見つけたときの高いテンションは、すでに下がっていて。

皐月は肩を落として、来た道を引き返した。


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