スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
「何で弥生が謝んの?」


俺は立ち上がって、弥生の頭をポンと叩いた。


「だって、あたしが断れないから。恭ちゃんを困らせちゃうから」


クリッとした大きな目を潤ませて。

極上の上目遣い。

毎度のことだけど。

俺の胸は、一瞬で撃ち抜かれる。


「そーだな? じゃあさ。困らされたお詫び、して?」


ニッコリと、営業スマイル。

弥生は「何それ?」って顔で、首を傾げた。


「キスして?」

「………………へ?」


弥生は恐ろしく長い間を置いて返事をした。

しかも間抜け声。


「ぶっ……! 何その顔?」


思わず吹き出した俺を、弥生はまだキョトンとした顔で見てる。


「俺、日本語しゃべってるよな?」

「……うん? 今何て言ったの?」


聞き間違いにしたいのか?


「だーかーらー。キス! キスしてって」
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