スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
「秋本先輩。戻らなくていいんですか?」


雪菜は皐月の隣に並び、ショルダーポーチの革紐を握り締めた。


「ん? あぁ……今さら戻っても、な?」


皐月は気まずそうに、はにかんだ笑みを浮かべる。

初めて見る柔らかな表情に、雪菜の目が釘付けになった。


クールだって言われてるけど。

こんな風に笑うんだ……


「どこ?」

「えっ?」


突拍子のない問い掛けに、雪菜は首を傾ける。


「汚れたとこ」

「あ、はい……ここです」


立ち止まる雪菜に合わせ、皐月は腰を屈めた。
< 41 / 70 >

この作品をシェア

pagetop