スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
「いえ、あの、本当に大丈夫ですから」


目を細めて微笑する皐月に、雪菜の鼓動が僅かに速まる。


「それじゃ俺の気が済まねぇし」


真面目なんだ。


雪菜は率直にそう思い、頬を緩めた。

口数の少ない皐月の言葉には、飾り気がなくて……

建前でも社交辞令でもないことがわかる。


「じゃあ」


雪菜は皐月を見上げて。


「代わりに、美味しいご飯食べさせてください」


ニッコリと笑んだ。

ふたりの間に、桜の花びらがハラリと横切る。


「……あぁ」


皐月は、弥生以外の笑顔を、初めて可愛いと思った……。




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