スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
「立ち上がったとき叫んでましたよ? 『弥生!?』って」

「覚えてねぇ」


グラスの水を飲み干し、皐月は眉をひそめた。


どうも、俺は……


弥生のことになると、見境がつかなくなる。


「何か。あたしの兄に似てます、秋本先輩」


雪菜は嬉しそうに皐月を見つめた。


「君のお兄さん? 俺と似てる?」

「はい。あたし、兄にすごく大切にされてますから」


雪菜は、とても満たされているような、幸せそうな微笑みを雫した。


弥生は、どうなんだろうな?


恭哉の前ではこんな風に笑っているのかと考えて……


「先輩、水が……」


気づくと、注いだ水がグラスから溢れていた。


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