スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
「お兄ちゃん、やめて! 大学の先輩だよ!」


小さい雪菜は、必死に背伸びをして叫んだ。


「お兄ちゃん?」

「先輩?」


同時に雪菜を見て、彼らは身体を離した。


「先輩ごめんなさいっ! 失礼しますっ……」


雪菜は慌てて兄の腕を引っ張り、改札口へ歩き出した。


「ちょっ、待て! あいつ一発殴りてぇー!」

「だからやなのよー!」


ぎゃあぎゃあと騒ぎながら去って行くふたりの背中を見つめる。


「俺が、あいつに似てる……?」


皐月はボソリと呟いた。


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