スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
地元の駅で時間を調整してから、電車に乗り込む。

下りの路線はいつも彼がいるホームに停車するから、ひとつ後ろのドアの前で、そっと身を潜めた。


ドキン、ドキン……


冷房の効いた車内なのに、あたしの身体は逆に火照って。

小さな胸の高鳴りを乗せたまま、電車がホームに到着した。


「わっ」

「小雪、お姉ちゃんに掴まって」


ホームに溢れる人たちが一斉に乗り込んできて……

あたしたちは、反対側のドアまで押されてしまった。


「大丈夫?」

「うん」

「これじゃわかんないね?」


顔を合わせると、お姉ちゃんが苦笑いした。


「たぶん、いな……」


何気なく向かいのホームに視線を移して……あたしは言葉を呑み込んだ。


「小雪?」

「あっ、あそこ!」


お姉ちゃんの声にハッとして、思わず指をさしてしまう。

指の先で、ベンチに座る彼が。


……微笑んだ気がした。




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