四竜帝の大陸【青の大陸編】
「ちょっと! ハクちゃんに何してるのっ!?」
りこの声。
「どわっつ! この暴力女! 何しやがる」
「ひ、姫さん。ちょっ」
=ダルフェ。りこが来たんだな? 我は身体が動かぬ。りこを守れ。
「……はぁ、必要なさそうですよ」
「ハクちゃんを蹴ってたでしょっ!?」
私が中庭に着いたとき、ぐったりと地面に倒れてるハクちゃんを青い竜がげしげしと踏みつけていた。
無抵抗でされるがままの、小さな白い竜。
私は急いで近寄り、青い竜を掴んでハクちゃんから離しその勢いのまま放り投げた。
そしてお茶の準備が整っているテーブルから椅子を取り、青い竜に思いっきり叩き付けた。
見た目より軽かった椅子は、まだ四つあった。
全部を投げつけてから、慌ててハクちゃんを抱き上げた。
「しっかりして! ハクちゃん、ハクちゃん!」
だらりとした手足。
閉じた眼。
半開きの口からは赤い舌が……。
しかも、しかもぉ!
「よ、よだ、れ? ちょっと、あんた! 頭を踏んだわね?! 脳に障害が出ちゃったとか? ハクちゃん、ハクちゃん……やだ、しっかりして!」
私は怖くなって、不安になって……。
「う、うぇっ」
今日は泣いてばかりだ。
ハクちゃん。
ハクちゃん……ハク。
=泣くな、りこ。
「ハクちゃん? ハクちゃん! ねぇ、だいじょうぶ? どうしたの?」
身体はぴくりとも動かない。
念話で話しかけてくれても身体がこんな状態では、私の不安は消えない。
意識はあるのに動かないなんて、ますます心配になった。
「姫さん。旦那はだいじょうぶだ。ちょっと酔っ払ってるだけさ」
ダルフェさんさんが椅子の山から青い竜……竜帝さんを引っ張り出しながら言った。
「初めて酒を飲んだ餓鬼と同じだよ。姫さんの血の匂いに当てられただけだ。しばらく休ませれば回復するさ」
「血? よく分からないけど休んだら治るの? よかった!」
=すまない、りこ。我は。我は……。
「今日はいろいろあったから、疲れちゃったんだね。ハクちゃん、繊細だから」
「おい! おちび~! てめぇ、俺様を……ほぎゃっつ!」
カイユさんが竜帝さんの青い頭に拳骨を落とした。
ゴインと鈍い音が聞こえてきた。
「陛下が悪いです」
「カ、カイユ。その、俺はそのだ、あの」
「言い訳無用です!」
「むご!?」
青い竜の口を掴んで黙らせたカイユさんを、うっとりとした目で見ながら。
「いいなぁ~、陛下。ハニーの拳は最高でしょ? 癖になりますよぉ~」
ダルフェさんは羨ましそうに、そう言った。
りこの声。
「どわっつ! この暴力女! 何しやがる」
「ひ、姫さん。ちょっ」
=ダルフェ。りこが来たんだな? 我は身体が動かぬ。りこを守れ。
「……はぁ、必要なさそうですよ」
「ハクちゃんを蹴ってたでしょっ!?」
私が中庭に着いたとき、ぐったりと地面に倒れてるハクちゃんを青い竜がげしげしと踏みつけていた。
無抵抗でされるがままの、小さな白い竜。
私は急いで近寄り、青い竜を掴んでハクちゃんから離しその勢いのまま放り投げた。
そしてお茶の準備が整っているテーブルから椅子を取り、青い竜に思いっきり叩き付けた。
見た目より軽かった椅子は、まだ四つあった。
全部を投げつけてから、慌ててハクちゃんを抱き上げた。
「しっかりして! ハクちゃん、ハクちゃん!」
だらりとした手足。
閉じた眼。
半開きの口からは赤い舌が……。
しかも、しかもぉ!
「よ、よだ、れ? ちょっと、あんた! 頭を踏んだわね?! 脳に障害が出ちゃったとか? ハクちゃん、ハクちゃん……やだ、しっかりして!」
私は怖くなって、不安になって……。
「う、うぇっ」
今日は泣いてばかりだ。
ハクちゃん。
ハクちゃん……ハク。
=泣くな、りこ。
「ハクちゃん? ハクちゃん! ねぇ、だいじょうぶ? どうしたの?」
身体はぴくりとも動かない。
念話で話しかけてくれても身体がこんな状態では、私の不安は消えない。
意識はあるのに動かないなんて、ますます心配になった。
「姫さん。旦那はだいじょうぶだ。ちょっと酔っ払ってるだけさ」
ダルフェさんさんが椅子の山から青い竜……竜帝さんを引っ張り出しながら言った。
「初めて酒を飲んだ餓鬼と同じだよ。姫さんの血の匂いに当てられただけだ。しばらく休ませれば回復するさ」
「血? よく分からないけど休んだら治るの? よかった!」
=すまない、りこ。我は。我は……。
「今日はいろいろあったから、疲れちゃったんだね。ハクちゃん、繊細だから」
「おい! おちび~! てめぇ、俺様を……ほぎゃっつ!」
カイユさんが竜帝さんの青い頭に拳骨を落とした。
ゴインと鈍い音が聞こえてきた。
「陛下が悪いです」
「カ、カイユ。その、俺はそのだ、あの」
「言い訳無用です!」
「むご!?」
青い竜の口を掴んで黙らせたカイユさんを、うっとりとした目で見ながら。
「いいなぁ~、陛下。ハニーの拳は最高でしょ? 癖になりますよぉ~」
ダルフェさんは羨ましそうに、そう言った。