四竜帝の大陸【青の大陸編】
真っ赤に染まったベージュのガウン。
あ、そっか。
さっき、ついちゃったのね?
「ハクちゃん、ハク」
床に丸まったガウンの間から、小さな白い竜が顔を出した。
「かわいそうに。また……まだ泣いてたんだね」
床一面に転がる無数の真珠。
「おいで。ハクちゃん」
よたよたと短い足で私に駆け寄ってきた白い竜は、後一歩という距離で止まり。
うずくまってしまった。
手足を丸め。
震えていた。
私は床に膝をついて。
腕を伸ばした。
震える小さな身体を膝に乗せ、身体を前にかがめた。
いつもより、さらに冷たくなってしまったハクちゃんを暖めたくて。
卵を抱くように。
ハクちゃんの小さな身体をそっと、包み込む。
「大好きよ。大好き……私の泣き虫な旦那様」
私の膝からこぼれた真珠が、床に転がっていく。
ころころ、転がる。
無数に。
星のようにきらきら輝いて。
「……私に触れながら、泣いてたもんね。怖かったでしょう? とめられなくて辛かったよね?」
私。
ハクちゃんを助けられなかった。
あんなに泣いてたのに。
りこ
まだ、駄目だ
我から、逃げろ
りこを傷つけてしまう
りこが壊れてしまう
りこ
りこ
我を、拒んでくれ
嫌だと、言ってくれ
我を、止めてくれ
あの時。
竜の姿じゃないのに、頭にハクちゃんの声が響いていた。
頭の中も身体の中も……心の底まで。
ぐちゃぐちゃのどろどろで。
ハクちゃんで、いっぱいになった。
「ごめん。ごめんね」
ごめんなさい。
「許して」
ハクちゃんが苦しむって、分かっていたのに。
止めてって言えなかった。
私が『止めて』って言えば、ハクちゃんは自分を抑えられたのに。
私が……言わなかったから。
ハクちゃんは私を傷つけるのを、とても怖がってたのに……。
抱きしめられて。
身体中が悲鳴をあげた。
すぐに、意識がぼんやりしてきて。
手も足も動かなくて。
だんだん感覚が……無くなって。
目を開けることもできなくて。
痛みを感じることすら、できなくなって……。
あ、そっか。
さっき、ついちゃったのね?
「ハクちゃん、ハク」
床に丸まったガウンの間から、小さな白い竜が顔を出した。
「かわいそうに。また……まだ泣いてたんだね」
床一面に転がる無数の真珠。
「おいで。ハクちゃん」
よたよたと短い足で私に駆け寄ってきた白い竜は、後一歩という距離で止まり。
うずくまってしまった。
手足を丸め。
震えていた。
私は床に膝をついて。
腕を伸ばした。
震える小さな身体を膝に乗せ、身体を前にかがめた。
いつもより、さらに冷たくなってしまったハクちゃんを暖めたくて。
卵を抱くように。
ハクちゃんの小さな身体をそっと、包み込む。
「大好きよ。大好き……私の泣き虫な旦那様」
私の膝からこぼれた真珠が、床に転がっていく。
ころころ、転がる。
無数に。
星のようにきらきら輝いて。
「……私に触れながら、泣いてたもんね。怖かったでしょう? とめられなくて辛かったよね?」
私。
ハクちゃんを助けられなかった。
あんなに泣いてたのに。
りこ
まだ、駄目だ
我から、逃げろ
りこを傷つけてしまう
りこが壊れてしまう
りこ
りこ
我を、拒んでくれ
嫌だと、言ってくれ
我を、止めてくれ
あの時。
竜の姿じゃないのに、頭にハクちゃんの声が響いていた。
頭の中も身体の中も……心の底まで。
ぐちゃぐちゃのどろどろで。
ハクちゃんで、いっぱいになった。
「ごめん。ごめんね」
ごめんなさい。
「許して」
ハクちゃんが苦しむって、分かっていたのに。
止めてって言えなかった。
私が『止めて』って言えば、ハクちゃんは自分を抑えられたのに。
私が……言わなかったから。
ハクちゃんは私を傷つけるのを、とても怖がってたのに……。
抱きしめられて。
身体中が悲鳴をあげた。
すぐに、意識がぼんやりしてきて。
手も足も動かなくて。
だんだん感覚が……無くなって。
目を開けることもできなくて。
痛みを感じることすら、できなくなって……。