四竜帝の大陸【青の大陸編】
お風呂で気分をリフレッシュして、着替えて居間に行くと難しい顔をしたダルフェさんとカイユさんが居た。
ハクちゃんを抱っこしている私を見て、ダルフェさんは額に手をあてた。
「一緒に風呂!? やっぱりすげーよ、姫さんは」
カイユさんは……。
「いけません。そんなケダモノ、捨てていらっしゃい。うちでは飼えませんよ?」
にっこりと笑いながら言った。
カイユさんが冗談言うなんて、珍しい。
冗談……だよね?
眼が怖いけど。
床に散らばったハクちゃんのかけらを箒で集めていた手を止め、私を手招きした。
「カイユ?」
近寄った私を壁にある大きな鏡の前へと誘導し、いつもより硬い声音で言った。
「ご覧下さいませ」
へ?
何を……えええええぇえ~!?
「う、うそぉおおおっ~!!」
顔が変わっていた。
あ、顔の作りは変わってなかった。
日本人・26歳・鳥居りこの顔。
眼。
目玉。
目がっ!
「き、き、……金いろぉおお!」
鏡に映ったのは。
平凡な容姿に不似合いな、ド派手な金の眼をした私だった。
愕然とする私にカイユさんがさらに追い討ちをかけた。
「理由は私どもには分かりません。そのケダモノにお聞き下さい」
氷点下の視線は、私の抱いているハクちゃんに向けられていた。
どういうこと?
金の眼。
透明感ゼロの黄金。
ちょっと縦長の瞳孔。
ハクちゃんとそっくり。
と、いうか同じ。
ハクちゃんのせい?
ハクちゃんの……。
「ま、まさかっ」
腕の仲のハクちゃんが嬉しそうに手足をぶらぶらさせて。
言った。
「うむ。りこと我が交わったからだな」
なっ!?
『な、なんで皆にも分かっちゃう念話で言うのよ!? ハクちゃんの馬鹿馬鹿! あんなにめそめそうじうじしてたくせに、なに開き直ってんのよっ?! 馬鹿馬鹿ぁああー責任とれぇえええ~っ!』
思わず日本語で叫び、私はハクちゃんを放り投げた。
ハクちゃんは空中で1回転し、ふわふわ飛びながら言った。
「おい、ダルフェ。これも前に言っていた痴話喧嘩というものか?」
ハクちゃんの言葉にダルフェさんが叫んだ。
「俺らがどんなに深刻だったか……。分かってんのかぁーぁあああ!!」
止めてって言わなかった。
なんて酷い女なんだろう、私は。
悪いのは、私。
罵られるべきなのは、私。
「痴話喧嘩か。ふむ、悪くないな」
切れたダルフェさんが、ハクちゃんにドロップキックをしかけて。
ハクちゃんの小さな手で軽く払われ。
窓ガラスに豪快に激突し。
盛大な音とガラスの破片とともに、夕焼けに染まった茜色の街に消えた。
悪いのは、私。
どうしても。
どうしても、欲しかった。
この世界に来た意味が。
貴方が、欲しかった。
ハクちゃんを抱っこしている私を見て、ダルフェさんは額に手をあてた。
「一緒に風呂!? やっぱりすげーよ、姫さんは」
カイユさんは……。
「いけません。そんなケダモノ、捨てていらっしゃい。うちでは飼えませんよ?」
にっこりと笑いながら言った。
カイユさんが冗談言うなんて、珍しい。
冗談……だよね?
眼が怖いけど。
床に散らばったハクちゃんのかけらを箒で集めていた手を止め、私を手招きした。
「カイユ?」
近寄った私を壁にある大きな鏡の前へと誘導し、いつもより硬い声音で言った。
「ご覧下さいませ」
へ?
何を……えええええぇえ~!?
「う、うそぉおおおっ~!!」
顔が変わっていた。
あ、顔の作りは変わってなかった。
日本人・26歳・鳥居りこの顔。
眼。
目玉。
目がっ!
「き、き、……金いろぉおお!」
鏡に映ったのは。
平凡な容姿に不似合いな、ド派手な金の眼をした私だった。
愕然とする私にカイユさんがさらに追い討ちをかけた。
「理由は私どもには分かりません。そのケダモノにお聞き下さい」
氷点下の視線は、私の抱いているハクちゃんに向けられていた。
どういうこと?
金の眼。
透明感ゼロの黄金。
ちょっと縦長の瞳孔。
ハクちゃんとそっくり。
と、いうか同じ。
ハクちゃんのせい?
ハクちゃんの……。
「ま、まさかっ」
腕の仲のハクちゃんが嬉しそうに手足をぶらぶらさせて。
言った。
「うむ。りこと我が交わったからだな」
なっ!?
『な、なんで皆にも分かっちゃう念話で言うのよ!? ハクちゃんの馬鹿馬鹿! あんなにめそめそうじうじしてたくせに、なに開き直ってんのよっ?! 馬鹿馬鹿ぁああー責任とれぇえええ~っ!』
思わず日本語で叫び、私はハクちゃんを放り投げた。
ハクちゃんは空中で1回転し、ふわふわ飛びながら言った。
「おい、ダルフェ。これも前に言っていた痴話喧嘩というものか?」
ハクちゃんの言葉にダルフェさんが叫んだ。
「俺らがどんなに深刻だったか……。分かってんのかぁーぁあああ!!」
止めてって言わなかった。
なんて酷い女なんだろう、私は。
悪いのは、私。
罵られるべきなのは、私。
「痴話喧嘩か。ふむ、悪くないな」
切れたダルフェさんが、ハクちゃんにドロップキックをしかけて。
ハクちゃんの小さな手で軽く払われ。
窓ガラスに豪快に激突し。
盛大な音とガラスの破片とともに、夕焼けに染まった茜色の街に消えた。
悪いのは、私。
どうしても。
どうしても、欲しかった。
この世界に来た意味が。
貴方が、欲しかった。