四竜帝の大陸【青の大陸編】
我は基本的には暇だ。
我自身は暇との認識は無いのだが。
「貴方は暇なんですわ」
紅が彩る唇が、我の顎へと口付ける。
「最近は<監視者>の処分を恐れ、術士達も異界研究を敬遠する傾向が強いですわ。だからこうして妾の元に居て下さる」
赤の竜帝の大陸にあるドラーデビュンデベルグ帝国の女帝シュノンセルは、我の肌を撫で上げながら言った。
我に跨り、先程まで繋がっていたそこへと再び腰を下ろす。
望みのままにしてやると、すぐに全身を痙攣させて果てた。
“暇”である我は、女の身体を抜くことはせず放置して読みかけの書物に手を伸ばす。
シュノンセルが我に与えてくれた『世界の海鼠図鑑』だ。
我の上で横たわるシュノンセルは、意識が戻ればいつものように。
女は自ら我を引き抜き政務に戻るか、そのまま腰を振り快楽を貪るかだ。
なぜだが分からぬが、人間の中には我を手元に置きたがる者がいる。
この女もそうだった。
我は女が欲しいと思ったことは無い。
だが我を欲しがる女は多かった。
我の身体だけでなく『心』も欲しかったと。
死の間際、女帝は言った。
我には意味が分からなかった。
術士でもあった女帝は、異界から生物を召還した。
<監視者>である我の目の前で。
「名も知らぬ貴方を、愛しているわ」
薄紅色の花弁を持つ植物。
女帝と植物を<処分>し終わると、赤の竜帝の城に移動した。
「何か我にくれ、<赤>よ。新しい<青>が赤の大陸の土産が欲しいと喚いて五月蝿いのだ」
我はここ数百年、基本的には青の竜帝の大陸を中心にして動いていた。
理由は<青>が現在最も幼い四竜帝だからだ。
遥か昔の契約に基づき、我はその時代で1番若い竜帝の大陸を拠点としている。
「土産? たった今、10年来の情人を殺してきた自覚あるの? ヴェルヴァイド」
<赤>の赤い眼が我を睨み付けた。
はて?
情人?
「我に情人がいたことは無いが。……それを貰おう」
我は<赤>の履くヒールに踏まれ失神している“それ”を指差した。
それは<赤>の髪と同じ色を持っていた。
赤の大陸の土産として分かりやすいように思えた。
我は<赤>が返事をする前に術式でそれを、<青>の元に転移させた。
「ちょっ、なんて事をするの! こんな距離で使ったらあの子、ばらばらになってしまうわ!」
「手足が取れていようが構わん。死体でも良いのだ。赤い髪が土産なのだ」
「……普段口をきかないヴェルが喋るといっつも、ろくでもない事ばかりね」
そういえば。
我は女帝の前で、喋ったことは無かったな。
「こんな最低男の心を欲しがるなんて。ねえ、シュノンセル。貴女が愛しい男の手での死を望んだ事すら、この人は気づかないのよ?」
喋る必要を、感じなかった。
我自身は暇との認識は無いのだが。
「貴方は暇なんですわ」
紅が彩る唇が、我の顎へと口付ける。
「最近は<監視者>の処分を恐れ、術士達も異界研究を敬遠する傾向が強いですわ。だからこうして妾の元に居て下さる」
赤の竜帝の大陸にあるドラーデビュンデベルグ帝国の女帝シュノンセルは、我の肌を撫で上げながら言った。
我に跨り、先程まで繋がっていたそこへと再び腰を下ろす。
望みのままにしてやると、すぐに全身を痙攣させて果てた。
“暇”である我は、女の身体を抜くことはせず放置して読みかけの書物に手を伸ばす。
シュノンセルが我に与えてくれた『世界の海鼠図鑑』だ。
我の上で横たわるシュノンセルは、意識が戻ればいつものように。
女は自ら我を引き抜き政務に戻るか、そのまま腰を振り快楽を貪るかだ。
なぜだが分からぬが、人間の中には我を手元に置きたがる者がいる。
この女もそうだった。
我は女が欲しいと思ったことは無い。
だが我を欲しがる女は多かった。
我の身体だけでなく『心』も欲しかったと。
死の間際、女帝は言った。
我には意味が分からなかった。
術士でもあった女帝は、異界から生物を召還した。
<監視者>である我の目の前で。
「名も知らぬ貴方を、愛しているわ」
薄紅色の花弁を持つ植物。
女帝と植物を<処分>し終わると、赤の竜帝の城に移動した。
「何か我にくれ、<赤>よ。新しい<青>が赤の大陸の土産が欲しいと喚いて五月蝿いのだ」
我はここ数百年、基本的には青の竜帝の大陸を中心にして動いていた。
理由は<青>が現在最も幼い四竜帝だからだ。
遥か昔の契約に基づき、我はその時代で1番若い竜帝の大陸を拠点としている。
「土産? たった今、10年来の情人を殺してきた自覚あるの? ヴェルヴァイド」
<赤>の赤い眼が我を睨み付けた。
はて?
情人?
「我に情人がいたことは無いが。……それを貰おう」
我は<赤>の履くヒールに踏まれ失神している“それ”を指差した。
それは<赤>の髪と同じ色を持っていた。
赤の大陸の土産として分かりやすいように思えた。
我は<赤>が返事をする前に術式でそれを、<青>の元に転移させた。
「ちょっ、なんて事をするの! こんな距離で使ったらあの子、ばらばらになってしまうわ!」
「手足が取れていようが構わん。死体でも良いのだ。赤い髪が土産なのだ」
「……普段口をきかないヴェルが喋るといっつも、ろくでもない事ばかりね」
そういえば。
我は女帝の前で、喋ったことは無かったな。
「こんな最低男の心を欲しがるなんて。ねえ、シュノンセル。貴女が愛しい男の手での死を望んだ事すら、この人は気づかないのよ?」
喋る必要を、感じなかった。