四竜帝の大陸【青の大陸編】
あれから、ハクちゃんはずっと帰ってこない。
でも、念話で会話が出来るのです。

「ハクちゃん、ハクちゃーん! ねえ、今はどの辺なの?」

天井に向けて言った。
よく考えたら念話だから上を向いて大きな声を出さなくたっていいし、心の中で言えばいいんだけど。
私はふかふかのラグマットの上でカイユさんが貸してくれた地図を広げ、指でなぞった。
世界地図ではなく、この大陸の地図。
セイフォン、セイフォン……あった。
セイフォンの綴りはセシーさんに習ったから知っている。
書けないけど。
会話はハクちゃんが常に側にいてくれたから、もの凄く上達したと思う。
必要なことだったし、必死でやっている。
字は……後手後手でございます。
読む事はもちろんほとんど出来ないし、書き取りにいたっては最悪だった。
書けなくても日常で困らなかったせいもあるかな。

「マジという中規模の都市上空……まだメリルーシェ領内だ。大陸で最も広い面積を持つのでナポールに入るのは明日の深夜になるな」

ハクちゃんの念話は皆に聞こえるモードだったので、カイユさんが側に来て地図を覗き込み。

「ここがナポール王国です。セイフォン・ホークエ・メリルーシェ・ナポール・シャイタン。シャイタンを過ぎたら帝都上空に入ります」

じゃあ……後三泊で帝都。
あれ?
そういえば。
竜帝さんを支店で見たよね?

「カイユ。竜帝さんより私達のほうが早く着く?」
「いいえ。陛下はもう帝都ですよ。支店からの距離なら……陛下がのんびり飛んでも、2時間程で城に帰ってるはずですから」

に、2時間!?
私のびっくり心が伝わったのか、ハクちゃんが教えてくれた。

「<青>はあれでも竜帝なので他の竜族に比べ飛行速度が格段に速い。人間には目視できんほどにな」

へぇ~、凄いんだ。
竜帝さん、ちっちゃい竜だけど。
竜帝……四竜帝。
青・赤・黒・黄の4匹(人?)いるはず……。
ずらーっと勢揃いしたら、素敵。
うっとりしちゃいそう。

「…………」
「りこ?」

は!?
妄想してる場合じゃない!
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