四竜帝の大陸【青の大陸編】
自分のおかれた状況を思い知らされた。

大好きな人に、ろくなプレゼントが出来ない。
情け無い、私……。

「……」

私だって最近までちゃんと働いてた。
一人暮らしをして。
自分のお給料で生活して。
ボーナスでお母さんとお父さんに、温泉旅行をプレゼントしたこともあった。
普通の社会人だったのに。

こんなに。
惨めな気分。
誰のせいなの?

私は恵まれている。
くだらない失敗で連れてこられたけれど。
牢に入れられたり、放り出されたり……殺されたりしていない。

衣食住全てを保障され。
いい暮らしをさせてもらってる。
ハクちゃんも側にいてくれる。
私をお嫁さんにしてくれた、白い竜。
あの人といるためなら、元の世界に帰れなくても。
2度と家族に会えなくても。
それでも、いい。
そう思ったのは、嘘じゃない。

私は恵まれた状況なんだから。
まるでお姫様のように。
恵まれている。

……全てを“恵んで”もらっている、のだから。
 
「……っ!」

胸の中が。
どす黒い何かに。
覆われた気がした。

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