四竜帝の大陸【青の大陸編】
駕籠の中は探検済みだったから、出入り口の場所は知っていた。
カイユさんが先に出たので、鍵は開いている。
重く厚い扉を両手で少し押し開け、外の様子を見ようとしたら。
その途端。
強い風に扉が全開になり、身体が外へ出てしまった。
横殴りの雨にバランスを崩し、つんのめってノブから手を離してしまう。
へっぴり腰の体勢で、左によろよろと足をもつれさせながら倒れこんでしまった。
叩き付ける雨で、眼を開けてられない。
風が重たくて、立ち上がれない。
風に重みがあるなんて、初めて知った。
鼓膜が破れるような雷鳴に、心臓が震えた。
一瞬でずぶぬれになり、寒さに歯が鳴った。
寒い。
セイフォンとは気温が違う。
秋、ううん。
冬の冷たさだ。
かろうじて薄目を開けて、周りを見た。
雷の光だけが照明で。
私が確認できたのは。
青白い光に浮かび上がる大きな駕籠。
ああ、こんな酷い天気の中を。
ダルフェさんは、この重たい駕籠を持って飛んでくれたんだ。
ハクちゃんは、こんな寒い外でずっと私達を守ってくれてたんだ。
ハクちゃん。
ハクちゃん。
ごめんね、ごめん。
こんな私がつがいで、ごめん。
パジャマを喜んでもらえなかったのがショックなんじゃない。
当然のことだから。
私がショックだったのは。
貴方の側にいられるなら。
元の世界も家族も全部あきらめるって思ってた私の……。
その気持ちは嘘なんかじゃない。
なのに。
なのにね。
捨て切れてない。
ずるい、私。
汚い、私。
ちょっと情けなくて、悲しかっただけなのに。
ハクちゃんの反応が自分の想像と違っただけなのに。
たったそれだけのことで。
こんな世界、やっぱり嫌い。
帰りたいって、思ってしまった。
カイユさんが先に出たので、鍵は開いている。
重く厚い扉を両手で少し押し開け、外の様子を見ようとしたら。
その途端。
強い風に扉が全開になり、身体が外へ出てしまった。
横殴りの雨にバランスを崩し、つんのめってノブから手を離してしまう。
へっぴり腰の体勢で、左によろよろと足をもつれさせながら倒れこんでしまった。
叩き付ける雨で、眼を開けてられない。
風が重たくて、立ち上がれない。
風に重みがあるなんて、初めて知った。
鼓膜が破れるような雷鳴に、心臓が震えた。
一瞬でずぶぬれになり、寒さに歯が鳴った。
寒い。
セイフォンとは気温が違う。
秋、ううん。
冬の冷たさだ。
かろうじて薄目を開けて、周りを見た。
雷の光だけが照明で。
私が確認できたのは。
青白い光に浮かび上がる大きな駕籠。
ああ、こんな酷い天気の中を。
ダルフェさんは、この重たい駕籠を持って飛んでくれたんだ。
ハクちゃんは、こんな寒い外でずっと私達を守ってくれてたんだ。
ハクちゃん。
ハクちゃん。
ごめんね、ごめん。
こんな私がつがいで、ごめん。
パジャマを喜んでもらえなかったのがショックなんじゃない。
当然のことだから。
私がショックだったのは。
貴方の側にいられるなら。
元の世界も家族も全部あきらめるって思ってた私の……。
その気持ちは嘘なんかじゃない。
なのに。
なのにね。
捨て切れてない。
ずるい、私。
汚い、私。
ちょっと情けなくて、悲しかっただけなのに。
ハクちゃんの反応が自分の想像と違っただけなのに。
たったそれだけのことで。
こんな世界、やっぱり嫌い。
帰りたいって、思ってしまった。