四竜帝の大陸【青の大陸編】

43(おまけの小話あり)

りこはいた。
駕籠に寄りかかり。
膝を抱え。

「りこ」

我が呼びかけると。 
ゆっくりと。
ゆっくりと顔を上げた。

普段は黄みがかったりこの肌が。
白くて。
 
「はは……。さ、寒い、ねぇ。駕籠に、も、もどろうと、したんだけ、どね」
 
言葉よりも。
歯の鳴る音の方が、大きかった。

「あ、あ……あし、足がうごかな、か、らだが冷えた、から……かなあ?」 
そう言って。
顔を。
我の視線から隠すように、両手で覆った。

「りこ」

我には分からない。
何故、りこが。
 
外で。
雨にうたれ。
風にたたかれ。

「りこ」

我のりこが。
何故、りこが?。

ぱじゃまを差し出したりこは。
笑っていたのに。

我の眼が。
焼かれるほどに眩しい笑顔で。

あまりに綺麗で。
それは。
心臓が潰れるほどで。

我は。
貴女が。
愛しいと、思ったのだ。

「わ! おちびっ? こんなとこに……じじい、ほうけてんな! さっさと術式でおちびを医務室に連れて行け……急げ!」
 

城の医務室にりこを寝かせてすぐ。
カイユが現れ。
りこを一目見るなり。
我を殴った。
無言で。
 
我の身体は床にめり込んだが。
ぱじゃまは術式で守ったので。
塵一つ付かなかった。

もっと殴られてもいいと。
そう思った。


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