四竜帝の大陸【青の大陸編】
不安になってきた私を、小さな白い手が手招きする。
「心配無用だ。<竜帝>はとても丈夫な生き物なので、再生能力も高い。……どの入れ物がりこの好みだ? こちらに来て教えてくれ」
私に向けられた金の眼は。
お日様のように暖かく。
「カイユ、真っ青だった。震えてたよ?」
「カイユは<青>に仕えてる。主の怪我に動揺しただけだろう」
私とお揃いの金の眼は。
いつもと変わらず、優しかった。
「さぁ、我の側に。我のりこよ」
私は白い手に引き寄せられるように、隣に膝を付いてハクちゃんの眼を覗き込んだ。
「竜帝さんに、酷いことしたの? カイユがあんなに真っ青になる位の怪我を……窓、ちゃんと閉めなかったから? 私が寒がったから? 私のせいでっ」
ハクちゃんは優しい、とても優しい。
私には、私にだけだ。
だから気をつけなきゃいけなかったのに。
「そうか、窓の件の仕置きを忘れてたな」
え?
窓の閉め忘れでこうなったんじゃないの?
「今回の仕置きの理由は……我は言いたくないっ!」
ハクちゃんは両手で頭を押さえ、吐き捨てるように言った。
あれ?
ちょっと、様子がおかしい。
「りこ、りこ! 我はりこに愛されてるのだろう? りこは我を愛してくれた。我を愛してくれている! だから違うっ! 我は、あの時、我はっ……我はっ!」
あ。
分かった。
知ってたんだ。
竜帝さんは。
「我はっ!」
支店長さんが報告したのかもしれない。
お医者様も来たそ。
私の眼の色も変わってしまった。
竜帝さん……ランズゲルグは。
その事で何か言ったんだ。
そして。
ハクちゃんを怒らせたんだ。
とても。
ハクちゃんを怖がらせたんだね?
「大丈夫。大丈夫だよ、ハクちゃん」
私はハクちゃんを抱きしめ、胸に……心臓に押し付けた。
「ほら、ちゃんと音がするでしょう? 私、生きてるでしょう?」
ハクちゃんの背中を、撫でながら言う。
「あの時、私達は愛し合ったんだもの。えっと、実は、その、細かいことは覚えてないんだけどっ……ハクちゃんが私に触れてくれたの、嬉しかった。幸せだった、すごく。私、嬉しいって思ったの。その気持ちはずっとずっと、忘れない」
「りこ」
忘れない。
ハクちゃんの愛を。
私の罪を。
「あの時。お互いの意志で、私が望んで貴方にちゃんと愛されたんだって、あの餓鬼んちょ竜帝に自慢してやる! 誰にだって言えるよ、誇りを持って」
大声で。
世界中の人に言える。
「私達、愛し合って結ばれたんだって。ハクちゃんは、ハクは私の……私だけの人になってくれたんだって、お城のてっぺんで叫んじゃおっか?」
「姫さん、そりゃ勘弁してくれよぉ。父ちゃん、なんか切なくなっちまう」
へ?
「ダ、ダルフェさっ!?」
ひえ、いったいいつからそこに居たんですか!
「心配無用だ。<竜帝>はとても丈夫な生き物なので、再生能力も高い。……どの入れ物がりこの好みだ? こちらに来て教えてくれ」
私に向けられた金の眼は。
お日様のように暖かく。
「カイユ、真っ青だった。震えてたよ?」
「カイユは<青>に仕えてる。主の怪我に動揺しただけだろう」
私とお揃いの金の眼は。
いつもと変わらず、優しかった。
「さぁ、我の側に。我のりこよ」
私は白い手に引き寄せられるように、隣に膝を付いてハクちゃんの眼を覗き込んだ。
「竜帝さんに、酷いことしたの? カイユがあんなに真っ青になる位の怪我を……窓、ちゃんと閉めなかったから? 私が寒がったから? 私のせいでっ」
ハクちゃんは優しい、とても優しい。
私には、私にだけだ。
だから気をつけなきゃいけなかったのに。
「そうか、窓の件の仕置きを忘れてたな」
え?
窓の閉め忘れでこうなったんじゃないの?
「今回の仕置きの理由は……我は言いたくないっ!」
ハクちゃんは両手で頭を押さえ、吐き捨てるように言った。
あれ?
ちょっと、様子がおかしい。
「りこ、りこ! 我はりこに愛されてるのだろう? りこは我を愛してくれた。我を愛してくれている! だから違うっ! 我は、あの時、我はっ……我はっ!」
あ。
分かった。
知ってたんだ。
竜帝さんは。
「我はっ!」
支店長さんが報告したのかもしれない。
お医者様も来たそ。
私の眼の色も変わってしまった。
竜帝さん……ランズゲルグは。
その事で何か言ったんだ。
そして。
ハクちゃんを怒らせたんだ。
とても。
ハクちゃんを怖がらせたんだね?
「大丈夫。大丈夫だよ、ハクちゃん」
私はハクちゃんを抱きしめ、胸に……心臓に押し付けた。
「ほら、ちゃんと音がするでしょう? 私、生きてるでしょう?」
ハクちゃんの背中を、撫でながら言う。
「あの時、私達は愛し合ったんだもの。えっと、実は、その、細かいことは覚えてないんだけどっ……ハクちゃんが私に触れてくれたの、嬉しかった。幸せだった、すごく。私、嬉しいって思ったの。その気持ちはずっとずっと、忘れない」
「りこ」
忘れない。
ハクちゃんの愛を。
私の罪を。
「あの時。お互いの意志で、私が望んで貴方にちゃんと愛されたんだって、あの餓鬼んちょ竜帝に自慢してやる! 誰にだって言えるよ、誇りを持って」
大声で。
世界中の人に言える。
「私達、愛し合って結ばれたんだって。ハクちゃんは、ハクは私の……私だけの人になってくれたんだって、お城のてっぺんで叫んじゃおっか?」
「姫さん、そりゃ勘弁してくれよぉ。父ちゃん、なんか切なくなっちまう」
へ?
「ダ、ダルフェさっ!?」
ひえ、いったいいつからそこに居たんですか!