四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクちゃんの破いた袋に入っていたのは、支店で出しちゃった‘かけら’だった。
カイユさんが、ちゃんと袋に入れてくれていた。
温室全体に散らばった無数のかけら。

「はぁ~……参ったなぁ」

うんざりした顔で眺めるダルフェさんを尻目にハクちゃんはかけらを拾い、ガラススポットに詰めはじめた。
小さな指を使って丁寧に作業をし、蓋を閉めて私にかぼちゃ型のガラスポットを両手で差し出した。

「りこ! どうだ?」
「すごい綺麗~、素敵!」

ガラスの入れ物に入れられたハクちゃんのかけらは艶やかに煌めいて、真珠をつめたみたいだった。

「のど飴を見て、思いついたのだ」

小さな手からガラスポットを受け取り、お日様にかざして喜ぶ私にダルフェさんが言った。

「はは……俺、箒を取りに行ってきますよ」
「ほ、箒なくて平気です! ハクちゃん、自分で片付けなきゃっ。前みたいにささっと出来る? 何か大きな入れ物借りないとだね。あ! ダルフェ、大きいお鍋ありますか?」

ハクちゃんはふわふわ飛びながら、首をかしげた。

「りこは鍋が好きだな」
「え?」

別にそういうわけじゃないんだけどな。
ま、いいか。




ダルフェさんが深くて大きな銅鍋をお城の厨房から借りてきてくれて。
炊き出しに使うようなそれに、ハクちゃんのかけらをしまった。
思ったより量があり……。
ハクちゃんがあの時、すごい量の内臓(ひえ~)を出していたのだと痛感した。

「姫さん、午後の茶の時間まで寝てなさいね。一応、病み上がりなんだから」

ダルフェさんはそう言ってくれたけど、体調はなんとも無い。
咽喉の痛みも治ったし。
カイユさんの飴、素晴らしいです。

「ダルフェ。私、元気ですよ? あ、お部屋を見てきていいですか?」
「ああ、ここは姫さんの部屋なんだからご自由に。旦那ぁ、衣装室に塔から移動した衣類ありますからね」

ハクちゃんの服……服!?
そうよ、今度こそ平和的なイメチェンをせねばっ!
魔王様は卒業なのよ!


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