四竜帝の大陸【青の大陸編】
「旦那は姫さんを<自分に近い生き物>に変えようとしたんでしょ? ……続行中ですかねぇ。ま、それについちゃ俺に意見する資格は無いんで流しますが」

ダルフェはいつの間にか寝てしまったりこを見て、目を細めた。

「旦那にしかこの小さな身体がどう変わってしまったか、変わっていくのか分からないんですから。もっと気をつけてやって下さいよ。これ、泥酔状態じゃないですか。こんなに泣かせて可哀相に……。健康管理は夫の仕事だって教えたでしょうが、ったく」

泥酔状態?
そういえば、りこの体温が平常時より高いな。

「先ほど摂取した体液からの情報では、我の血に対する反応までは読み取れなかったな。なるほど、全てを把握可能では無いということか」

ふむ、我は自分の能力を過信しすぎる傾向があるようだ。
今後はもっと注意しなければ。

「は? 体液って、旦那……まさか、やっちまったんですかっ!?」
「しとらん。触っただけだ。お前が言った健康管理の一環だ。急ぎで確認したいこともあったのでな」

確認したかった。
りこが、りこの身体が我を本当に忘れているのか。

「触っただけって……よく止められましたね。あんた、蜜月期だってのに……辛くないんですか?」

手酷く扱われた記憶が身体に刻まれ。
我に恐怖を感じないか、拒絶しないか。

「辛い? ……我は」

不安で、怖かったのだ。 

りこは。
りこの身体は。

「この身の辛さなど、どうでもよいのだ」

我を憶えていた。
我が触れると、素直に反応し。
悦んでくれた。
我を欲しがってくれていた。
心も身体も。
我を拒絶しなかった。
恐れなかった。

「旦那……」

りこ、我のりこ。
貴女だけが。
我の全てを抱きしめてくれるのだ。
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