四竜帝の大陸【青の大陸編】
「……我はりこから一時も離れたくない。身体の変化が気に掛かるのだ。先ほどの間者はもうどうでも良い。通常の処置で聞きだせぬなら捨てろ。変わりは次々に沸いてくる」
「はぁ、いいっすけどねぇ。じゃあ……雇い主を吐かせてまだ生きてたら、新人訓練用に貰いますわ。間者としては殺されるほうがましだったでしょうねぇ」

生餌を使った狩りの訓練は、餌側にとっては地獄だからな。

「今回は<星持ち>が混じってましたから。楽しめますねぇ、くくっつ……あいつらも喜びます」

りこを気遣い、りこの喜ぶ菓子や料理を作るこの竜は。
竜騎士などと比較にならぬ、特異な個体。

「りこの前で<色持ち>の顔は見せるな。<赤い髪>よ」
 
 
 

我は術式で寝台の上に移動し、りこを寝かせようとしたが。
りこは両腕を腹にしっかりとまわしていて。
無理に引き剥がすことなど、我には出来ない。
もったいないではないか。

「ふむ、こういうのを役得というのか?」

枕を背にし、りこを腹にくっつけたまま座り。 
手を伸ばしてりこの靴を脱がしてやり、適当に放った。

「りこ……こうして髪に触れられて、我は嬉しい。ラパンでの練習は卒業なのだ」

今の我は。
髪を梳き。
頬に触れ。
柔らかな肌に手を這わす事ができる。

深く交わったことにより、我の身体がりこを憶えたためだろう。
我の匂いを染み込ませたことで、我の不安感も薄らぎ。

「今夜は風呂に入った後に、りこのくれたぱじゃまを着よう」

む?

今、我は。 
微笑むことが出来ていたような?

そんな気がするのだが。
りこが寝ていて確認してもらえないのが、少々残念だな。

 
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