四竜帝の大陸【青の大陸編】
窓の外は、すっかり暗くなっていた。
私は数時間寝てしまったってことで……。

「……」

室内は天井から提げられたガラスで作られた植物をモチーフにした照明器具で照らされ、蛍光灯と違うオレンジがかった優しい明かりがなかなか素敵。
セイフォンや支店は、植物油や専門の術士が作っているという固形燃料(高価らしい)で大小さまざまなランプや照明器具をつけていた。
この居住空間にもランプはいくつか置いてあるけど、明かりの為じゃなくてインテリアとしての間接照明って感じ。
ここは電気なの?
でも吊るされた照明器具には電球は見当たらない。
全体が淡く発光してて、すごく綺麗。
大きいのに作りは繊細で、優美。
花びらまで精巧に作りこんであって、蔓と葉が絶妙に絡まりあっていた。

「私、本でも読もうかな」

居間のソファーで本(備えけの本棚にあった植物図鑑。難解で説明は読めないけど、絵が綺麗なので選んだ)を読んで……見ていた私は温室に続くドアがノックされたので、立ち上がろうとしたら。

「りこ、立つな。入れ、ダルフェ」

向かいのソファーで皮の表紙の付いた分厚い本を、完璧な無表情で読んでいたハクちゃんは視線を動かさず言った。
その姿、口調……横柄で偉そうなのに、似合いすぎて違和感が無い。

「よっ! 復活したみたいだねぇ、晩飯持ってきたから」

爽やかに笑うダルフェさんの言葉……。
ま、まさか!
みっともない姿を彼にも見られたの?

「あ、あの! そのっ」

焦る私に。

「酒弱いからって食前酒もいらないって言ってたもんな、姫さんは。正解だったな、うん」

ああ、最悪。
くっすん。

「そんな顔しなさんな。ま、美味い飯食って元気だしなって」
 
ダルフェさんは昼間と同じ大きなバスケットからいろいろ取り出し、厨房の作業台に並べていく。
私はそれを手伝いながら、気になっていた事を質問した。

「ダルフェ、竜帝さんの怪我の具合は? もう治った?」

ダルフェさんの答えに、私は絶句した。

「うんにゃ。全治1週間だな、ありゃ~。でも、ハニーと医療班が付いてるから心配しなさんな」
「なっ!?」

それって、すごい怪我だったって事なんじゃ。
ダルフェさんはハクちゃんやカイユさんにボキボキ(?)されても、すぐに治っていた。
その彼より丈夫だっていう竜帝さんが、完全治癒まで1週間って……。
重症です、重症っ!!
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