四竜帝の大陸【青の大陸編】
「りこ。我はりこが泣いてるのに、どうしたらその涙を止められるのか分からない」
ハクちゃんは背を撫でていた手を止め、言った。
深く響く、艶のある声は抑揚が無く平坦な口調だけど。
私の身体の奥の奥まで、染み入るようだった。
「慰めたいのに、どうしたら良いか判断できず、気の利いた言葉の1つさえ出てこないのだ。背を撫でる事も、抱っこも……りこの行動を模倣したに過ぎない」
大きな手が、私の頬を包み込む。
「りこが我にしてくれた時、心が落ち着き気持ちが良かった。だから真似ている。我は……腕の中で愛しい妻が、悲しげに泣いているというのに」
人のそれと違う真っ赤な色をした舌で、顎先から目元まで涙を追っていく。
「涙を見て咽喉の渇きを感じ、こうして舌を這わしてしまうのだ。りこが悲しんでいるのに、その悲しみの感情を理解せず。涙の甘さに心奪われ、もっと欲しいと……獣のように浅ましく、逃げ出したいほど情け無い」
ハクちゃんは私の頬からそっと手を離し、私を長い腕で囲い込むように抱きしめた。
「泣かせたくないと思う心に、嘘はない。慰めたいと感じるのも……信じてくれ。我はりこの心を護れるように、りこの悲しみが分かるようになりたいのだ」
ああ。
やっぱりハクちゃんは、すごい。
家族を想い、悲しみに沈んだ私を。
引き上げ、捕らえ。
「ハクちゃん、ねえハクちゃん。貴方が望むなら涙なんていくらだってあげる。血も肉も、飲まれたって食べられたっていいの。うん、痛く無いようにしてくれるならね」
ハクちゃんの髪を掴み顔を引き寄せ、金の瞳を覗き込んだ。
「いっぱい話そう。お互いのこと、もっともっと知ろうよ。ね、私が泣けるのはハクちゃんがいてくれるからなの。だから安心して、甘えて泣いちゃうの。これからも泣いちゃうことたくさんあると思う。そういう時は……こうしていてくれれば十分。言葉がなくても、いいの」
側に居て。
抱きしめて。
私を、抱きしめて。
ハクちゃんは背を撫でていた手を止め、言った。
深く響く、艶のある声は抑揚が無く平坦な口調だけど。
私の身体の奥の奥まで、染み入るようだった。
「慰めたいのに、どうしたら良いか判断できず、気の利いた言葉の1つさえ出てこないのだ。背を撫でる事も、抱っこも……りこの行動を模倣したに過ぎない」
大きな手が、私の頬を包み込む。
「りこが我にしてくれた時、心が落ち着き気持ちが良かった。だから真似ている。我は……腕の中で愛しい妻が、悲しげに泣いているというのに」
人のそれと違う真っ赤な色をした舌で、顎先から目元まで涙を追っていく。
「涙を見て咽喉の渇きを感じ、こうして舌を這わしてしまうのだ。りこが悲しんでいるのに、その悲しみの感情を理解せず。涙の甘さに心奪われ、もっと欲しいと……獣のように浅ましく、逃げ出したいほど情け無い」
ハクちゃんは私の頬からそっと手を離し、私を長い腕で囲い込むように抱きしめた。
「泣かせたくないと思う心に、嘘はない。慰めたいと感じるのも……信じてくれ。我はりこの心を護れるように、りこの悲しみが分かるようになりたいのだ」
ああ。
やっぱりハクちゃんは、すごい。
家族を想い、悲しみに沈んだ私を。
引き上げ、捕らえ。
「ハクちゃん、ねえハクちゃん。貴方が望むなら涙なんていくらだってあげる。血も肉も、飲まれたって食べられたっていいの。うん、痛く無いようにしてくれるならね」
ハクちゃんの髪を掴み顔を引き寄せ、金の瞳を覗き込んだ。
「いっぱい話そう。お互いのこと、もっともっと知ろうよ。ね、私が泣けるのはハクちゃんがいてくれるからなの。だから安心して、甘えて泣いちゃうの。これからも泣いちゃうことたくさんあると思う。そういう時は……こうしていてくれれば十分。言葉がなくても、いいの」
側に居て。
抱きしめて。
私を、抱きしめて。