四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクちゃんは身体の構造が根本的に普通の生き物と違うらしいから、いつも清潔なんだけど。
汗もかかないらしい……汗腺が無いってこと?
だから人型の時、お肌が異常に綺麗なのかなぁ。
人間っぽく無い、作り物みたいな……触るとエステ後の肌のようにつるつるしていた。

「りこ」

泡を流し終わると、白いおちび竜なハクちゃんは私の太ももの上にちょこんと座った。

「我もりこを、このように洗えるようになれるだろうか……これはかなり、高度な技術なのだろう? あまりに気持ち良く、我はぐにゃぐにゃになってしまう。涎もでそうだぞ?」
「き、気持ちだけでじゅうぶんだよ! さ、しっかり温まってから出ようね」

じょ、冗談じゃないよ~そんなこと!
私を洗うって……竜の時は鋭い爪をすごく気にしてるから、人型でっするて意味でしょう?

「……(想像中)……うっ!?」

ひいぃっ!
こんなアダルトなこと考えちゃ駄目ぇええ~!
想像しちゃ、妄想したら駄目よっ私の脳!!

「さ、お湯に入ろう!」

私はハクちゃんを鷲掴みにして、慌てて湯船に入った。
大浴場のようなお風呂に、小さな竜と私だけ。
広すぎて、落ち着かない。
肩まで白濁の湯に浸かった私の前を、眼元だけ湯から出して尻尾を左右に揺らした竜が通過した。
ワニ……イグアナの泳ぎに似てるかも。
何度も往復している。
遊んでるのかな? 
むふっ、可愛い。

「りこ、りこは泳がんのか? りこも泳げるのだろう?」

すいーっと近寄って。
金の眼をくるんと回して言うハクちゃんに、私は頷いた。

「ハクちゃんが泳いでるのを見てるほうが楽しいもの。すごく上手に泳げるね。長い距離も泳げるの?」
「暇だから大陸間を泳いで渡った事も、何度かある。外海は珍しい海獣がいてな、飽きん。飲み込まれて排泄されるまでも、なかなかおもしろかった」

なっ……!?
大陸間って……しかも海獣に排泄?

「ハクちゃん、食べられちゃったのー!?」
「いや、飲み込まれただけだ」

世間ではそれを食べられたと言うんですよ、ハクちゃん。


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