四竜帝の大陸【青の大陸編】
「お風呂が温泉なんて、凄いけど。一般家庭もそうらしいから、帝都って湯量豊富な温泉地なのね」
 
ハクちゃんは帝都について、お風呂で少し教えてくれた。
私に居る室内は、暖房が効いている。
これも温泉を利用したもの。 
驚くべき事にこの居住空間は、全て床暖房だった。
床下に温水パイプが張り巡らされてるので、空気も汚れない。
 油ファンヒーターやエアコンだと咽喉が少し痛む私には、すごくありがたい。 
帝都は温泉や地熱を生活にうまく使用していて、温泉保養施設も数箇所あるらしい。

治安が良いので、王侯貴族の保養地として人気も高く。
お金持ちの方々に人気のセレブ湯治場……フランスのアベンヌ地方みたいな感じかな?
セレブ相手は単価が高くて儲かるからって、今の竜帝さんが本格的に始めて。
地元にお金がざくざく落ちて大成功!
なんか、私が想像してた<竜帝>とかなり違うけど。
竜帝さんはずいぶんと優秀な、商売人だった。
帝ってつくのに、実際は社長。

「……う~ん」

あんまりファンタジーっぽくない。
かすかに残念気分を感じた私の前に。

「りこ! 我はぱじゃまを着るぞっ」

転移してきたハクちゃんはベッドにぽてんと正座をし、いそいそと、パジャマを手に取った。

「我の第一目標は達成された。次はぱじゃまの脱ぎ着を1人で出来るようになろうと思う」

第一目標?
しかも達成済み?
ちょっと気になる。

「ぱじゃまの脱ぎ着は、りこに教えを乞うとして」

ハクちゃんは帽子をちょこんと被って。

「うむ。これは出来るな」

金の眼を、くるりと回した。

「どうだ? りこ」

首をかしげて私を見上げる、白い竜。

「はいっ! 最高です!!」

あまりのかわゆさに、悶絶してしまった。
 
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