四竜帝の大陸【青の大陸編】
52
「うん、薬草園からは出ない。ここで待ってるね」
約束した私にハクちゃんは長身をかがめて、おでこにキスを落とした。
「すぐ戻る」
そして。
地面に着くほど長い真っ黒な外套を翻し、消えた。
「……悪の帝王様?って感じ。吸血鬼っぽくもあるけど……」
朝食後。
電鏡の間って場所の近くにあるという庭園……薬草園に、ハクちゃんは術式で私を連れてきてくれた。
薬草園の敷地から出ては駄目だと私に何度も念を押し、何かあったら呼べって……ハクちゃんの気が私の中にあるから、かなり離れても名前を呼ばれれば分かるんだと言っていた。
竜体になれば念話が使えて、離れてても会話が出来るのにと指摘したら、ハクちゃんは。
「竜体だと表情が作れん。……人型の我が微笑むと、りこの頬が染まって可愛らしいのだ。目元までほんのり赤くなって、とても良い。知っていたか?」
さ……さようでございますか?
か、可愛いですか!?
「そんなの、しっ……知らないっ!」
あんな顔見たら、誰だってそうなっちゃう。
茹でタコみたいで、間抜けな顔をしていたに違いない。
ハクちゃんはちょっと審美眼がずれてるから、私のことを褒めてくれるけど。
「早く、行っておいでよ。黒の竜帝さんが待ってるよ!」
照れ隠しで下を向いてしまった私の顔にひんやりとした大きな手が添えられ、ぐいっと上を向かされた。
「おかしいな? 笑んでいないのに、顔が赤いぞ」
「っ!!」
大真面目に言うハクちゃんは、やっぱりデリカシーが少々足りないのです。
約束した私にハクちゃんは長身をかがめて、おでこにキスを落とした。
「すぐ戻る」
そして。
地面に着くほど長い真っ黒な外套を翻し、消えた。
「……悪の帝王様?って感じ。吸血鬼っぽくもあるけど……」
朝食後。
電鏡の間って場所の近くにあるという庭園……薬草園に、ハクちゃんは術式で私を連れてきてくれた。
薬草園の敷地から出ては駄目だと私に何度も念を押し、何かあったら呼べって……ハクちゃんの気が私の中にあるから、かなり離れても名前を呼ばれれば分かるんだと言っていた。
竜体になれば念話が使えて、離れてても会話が出来るのにと指摘したら、ハクちゃんは。
「竜体だと表情が作れん。……人型の我が微笑むと、りこの頬が染まって可愛らしいのだ。目元までほんのり赤くなって、とても良い。知っていたか?」
さ……さようでございますか?
か、可愛いですか!?
「そんなの、しっ……知らないっ!」
あんな顔見たら、誰だってそうなっちゃう。
茹でタコみたいで、間抜けな顔をしていたに違いない。
ハクちゃんはちょっと審美眼がずれてるから、私のことを褒めてくれるけど。
「早く、行っておいでよ。黒の竜帝さんが待ってるよ!」
照れ隠しで下を向いてしまった私の顔にひんやりとした大きな手が添えられ、ぐいっと上を向かされた。
「おかしいな? 笑んでいないのに、顔が赤いぞ」
「っ!!」
大真面目に言うハクちゃんは、やっぱりデリカシーが少々足りないのです。